第59章

「体内の拒絶反応が少し強く出ていますね。それと、この症状はアレルギーっぽい。今のところ、あの薫香に何が含まれているのか分からないので、原因物質の特定はできません。ひとまず薬を出しますから、それで治療しましょう」

医師が大島莉理の状態を確認すると、背中に赤いブツブツが出ていた。細かな点がびっしりと広がっているのに、痛みも痒みもない。

それでも熱だけは下がらない。

典型的なアレルギー反応だった。

薬を処方され、莉理は田中辰哉に支えられて診察室を出る。

顔を上げた瞬間、田中尚哉の視線とぶつかった。

尚哉の顔色はひどく暗い。嵐の前触れみたいに重たい空気が漂う。莉理が、今にも怒鳴られると思...

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